化学反応式

【化学変化を粒子で考える】

例)水H2Oを分解すると水素H2と酸素O2になる。

 
 

このままでは何かがおかしい。何がおかしいのか考えてみよう。

   (ヒント:原子の性質の1つ「原子は新しくできたり,消滅したりしない」)

  分解する前と後でO原子の数が合っていない。

 
 

では,どうすればいいか考えよう。

(ヒント:水分子を2つにしてみる。そのとき,水素分子と酸素分素を何個にするか。)

 

H原子4つ,O原子2つになるので,H2分子2つ,O2分子1つにすればよい。

 ★ 数が合わないときは,最も複雑な化学式(原子の種類,数が多いもの)の物質を2つにしてみるとよい。

結果的に,水分子2個から水素分子2個と酸素分子1個ができることがわかる

 

例題 次の化学変化を,例にならって図示せよ。

例)水素H2と酸素O2が化合すると,水H2Oになる。

 
 

 ヒント 次の手順でやってみる

① 反応前の物質と反応後の物質を「→」で結ぶ。「→」は「反応(分解や化合)する」の意味になる。

      ② 「→」の左右で原子の数が合うように,それぞれの物質の数を考える。

         最も複雑なもの(原子の種類,数が多いもの)を2つにして他の物質の数を考えるとよい。

 

(1) 炭素CO2が化合すると二酸化炭素CO2になる。

 

 (2) 水素H2と窒素N2が化合するとアンモニアNH3になる。

 

 (3) 酸化銀AgOが分解すると銀Agと酸素O2になる。 

 

【化学反応式】

 これまでに化学反応を粒子で図示することで表してきた。これを化学式で表してみよう。

 

例)水H2Oを電気分解すると酸素O2と水素H2になる。

(→の左側と右側で原子の数が同じでなければならない。この場合,H2O2つにするとうまくいった。)

 
 

このように,化学反応を化学式係数で表した式を〔 化学反応式 〕という。化学反応式では,物質の変化のみを示す。「電気分解」などは示さない。

 

化学反応式の作り方

 粒子で図示したときと同じやり方でできる。

① 反応前の物質の化学式と反応後の物質化学式を「→」で結ぶ。「→」は「反応(分解や化合)する」の意味になる。

② 「→」の左右で原子の数が合うように,それぞれの物質の数を考える。最も複雑なもの(原子の種類,数が多いもの)を2つにして他の物質の数を考えるとよい。

③ 2つや3つにした物質の化学式は,係数を使って表す。 例)H2O2つなら,2H2O

  (係数をつけたとき,反応式全体で係数が約分できるときは約分する。)

 

例)一酸化炭素COが酸素O2と反応すると二酸化炭素CO2になる。

 

①  CO + O2 → CO2 (左C=1,O3 右C=1O=2)

 

② CO22つにしてみる。

CO + O2 → CO2

CO       CO2  (左C2O4 右C=2O4

 

 ③ 2CO2 + O2 → 2CO2

 

例題 次の化学反応を化学反応式で表せ。

ヒント 次の手順で考える

① 反応前の物質の化学式と反応後の物質化学式を「→」で結ぶ。

② 最も複雑なもの(原子の種類,数が多いもの)を2つにして他の物質の数を考えてみる。

③ 2つや3つにした物質の化学式は,係数を使って表す。

 

(1) 過酸化水素H2O2を分解すると,水H2Oと酸素O2になる。

   H2O2 → H2O + O2

 H2O22つにしてみる     H2O2 → H2O + O2

                    H2O2   H2O

 2H2O2 → 2H2O + O2 … ()

 

(2) 窒素N2と水素H2が反応するとアンモニアNH3になる。

  ① N2 + H2 → NH3

② NH32つにしてみる  N2 + H2 → NH3

                    H2   NH3

                    H2

③ N2 + 3H2 → 2NH3 … ()

 

(3)  鉄Feが酸素O2と反応すると酸化鉄Fe2O3になる。

  ① Fe + O2 → Fe2O3

② Fe2O32つにしてみる Fe + O2 → Fe2O3

                Fe   O2   Fe2O3

                Fe   O2

                Fe

③ 4Fe + 3O2 → 2Fe2O3  … ()

 

(4) 銅Cuと硫黄Sが化合すると硫化銅CuSになる。

 ① Cu + S → CuS  … ()

   この時点でCuSの数が左右であっている。

 

(5) 亜鉛Znと塩酸HClが反応すると,水素H2と塩化亜鉛ZnCl2になる。

 ① Zn + HCl → H2 + ZnCl2

② ZnCl22つにしてみる Zn + HCl → H2 + ZnCl2

Zn   HCl   H2   ZnCl2

                  HCl  

                  HCl  

 ZnClの数を合わせてからHの数を合わせる)

 

③ 2Zn + 4HCl → 2H2 + 2ZnCl2 (係数が約分できる)

   Zn + 2HCl → H2 + ZnCl2 … (答)

(この場合,ZnCl21つのままで考えればよかった)

 

(6)  プロパンC3H8と酸素O2が反応すると,二酸化炭素CO2と水H2Oになる。

 ① C3H8 + O2 → CO2 + H2O

 ② C3H82つにしてみる  C3H8 + O2 → CO2 + H2O

               C3H8   10個   6個   8

            CHの数を合わせてからOの数を合わせる)

③ C3H8 + 5O2 → 3CO2 + 4H2O … (答)